女性誌速攻レビュー特別編

カルチャー構築となるか!? 「渋原系」と共にした走り出した「PopSister」

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「PopSister」(角川春樹事務所)

 先日、10代向けギャル誌「Popteen」の姉妹誌として、「PopSister」が創刊された。「PopSister」についてまず注目すべきなのは、「渋原系」というスタイルだ。渋原系とは渋谷と原宿のファッションの両方の要素を持ったスタイル。109系ブランドを基本に古着をミックスしたのが始まりだ。このスタイルが誕生した要因はいくつか考えられる。

 まずはギャル系ファッションが多様化したこと。かつてに比べ、カジュアルなものやガーリーなものが増え、現在、ギャル系ファッションを定義するのは不可能な状態だ。そもそも渋原系を好む現在20歳前後の女子が10代半ばに好んで着ていたのが「COCOLULU」などのサーフ系ファッション。カジュアルなファッションに慣れていた彼女たちは、もともと古着に抵抗がなかったと思われる。

 次にファストファッションへの反発。万人受けを狙いありきたりなものしかないファストファッションに比べ、古着は一点もので個性を強調できる。その上安価なものが多いことでデフレ時代の新スタイルと考えられた。

 そして益若つばさの人気。彼女は中学時代から古着を着始め、誰も注目していないころから109系ブランドと古着のMIXスタイルを紹介してきた。彼女のブレイクとともにそのスタイルが注目され、昨年2度にわたり発売された増刊「PopSister」として、渋原系は形となった。現在ギャル系ファッションにとってこの渋原系という発明は、久しぶりの大流行になっているのだ。

■増刊よりも「渋原系」と距離を置いた「PopSister」

 増刊時代の表紙には「渋原系でいこう!」「渋原系ってサイコー」などの大きな文字が並び、益若つばさの古着MIXスタイルや古着屋マップなどの特集が組まれ、すぐに完売。しかし、今回月刊誌として創刊した「PopSister」が渋原系のための雑誌かというと、そうでもない。

 現在のファッション誌はカタログとしての機能が強いため、掲載されたのと同じアイテムを手に入れることができない古着は取扱いにくい。最近の渋原ブームにおいても、古着っぽい雰囲気の量産アイテムを扱う「WEGO」や「wc」、「RNA」などが大きく伸びていることから、必ずしも読者が本物の古着を求めていないことが分かる。

 さらに109系ブランドでも渋原系を意識した商品が増えている。流行によって多様な変化に対応してきたギャル系ファッションブランドが、渋原系取り入れるのは自然な流れだが、渋原系が消費されつくせばそれらのブランドは次の流行に向かうだろう。

 今回の創刊にあたって「PopSister」=渋原系という固定イメージにしたくなかったのか、増刊時代表紙にあった「渋原」の文字はずいぶん小さくなった。誌面のファッション傾向も、渋原系が中心ではあるが、「SLY」「LDS」などの少し大人な109系ブランドが多く使われている。

■出世魚雑誌としての「PopSister」が持つ問題点

 誌面には「Popteen」の存在も影響している。ティーン向けファッション誌としては圧倒的な部数を誇る同誌だが、読者は高校を卒業すると同時に「Popteen」からも卒業してしまう。もともと版元の角川春樹事務所はその受け皿としてBLENDAを創刊したが、セクシー色が強いという微妙な方向性の違いだけで、「Popteen」からの読者を獲得できずにいる。その読者たちを取り込むためには「Popteen」の延長線上で新雑誌を作る必要があったのだ。

 創刊号では専属モデル「Sisters Models」が発表されたが、益若つばさを中心に全員がPopteen出身者で構成され、モデルによっては「Popteen」と兼任している状態だ。誌面にはそのモデルたち手書きのメッセージや、モデルのメイクの解説、モデル行きつけのサロン紹介など、読者に身近な読者モデル的感覚を強調している。読者はモデルの好き嫌いで雑誌を選ぶため、身近にいる憧れの対象としての読者モデル感を生かしているのだろう。

 これらの特徴を裏返すと全て問題点になりかねない。まずは渋原系の動向だ。渋原系の流行はまだしばらく続くかもしれない。しかし109系ブランドに飲み込まれ一時の流行として消費されれば、あっという間に廃れる可能性もある。その時に「PopSister」の核となるスタイルが何になるのか。それはもう一つの問題点とも重なる。「Popteen」との差別化だ。「Popteen」読者取り込みのために、姉妹誌でかなり似た要素を持ってしまっている。現在は渋原系で差別化ができているが、次に流行るスタイルが同じものになれば読者の食い合いで共倒れになりかねないのだ。

 もちろん「PopSister」がギャル雑誌創刊ラッシュの中でもっとも楽しみな雑誌なのは間違いない。ポスト渋原スタイルはなにか? 次世代のモデルは誰か? 同じ読者層の「ViVi」(講談社)や「JELLY」(ぶんか社)の二強に割って入れるのか? 「BLENDA」はこの先持つのか? などなど興味が尽きない雑誌なのだ。
(大熊信)

「PopSister」

「PINKY」にギャル精神が加わった新勢力です

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