おひとりさまの葬儀が不安......

結婚式より大事に考えたい! おひとりさまのお葬式事情とは?

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自分らしいお葬式ってできますか?

 長い人生で、自分が主役になれる場面はいくつあるのでしょうか。誕生したとき、結婚するとき、そして死ぬとき……。このうちすでに、一つは終わり、二つ目の結婚はおひとりさまの現状どう考えても出来そうにない。となると、残るは死ぬとき=お葬式。考えてみれば、ノイローゼ気味になってまで綿密に結婚式のプランを立てる女性は多いのに、自分のお葬式のプランを立てている人はいません。一生に一度しかない自分のお葬式、ちゃんと考えないのはもったいない!

 もし家族が急に亡くなったらどうすればいいのかもイマイチわかりません。それに、一人暮らしのまま孤独死したら、その後どうなるのかも不安。でも、ピンピンに生きているいまから葬儀について考えるなんて、不謹慎だし気味悪がられる……。

 というわけで、葬儀の現状や、自分や家族の葬儀について考えておくことの意味を、日本初の葬儀相談員である市川愛さんに聞いてきました!

――葬儀って分からないことが多いんですよね。金額も不明だし、葬儀会社の違いも分からないし……。

市川愛(以下、市川氏) 私は服飾業界から葬儀業界に転職したんですが、お客様が葬儀会社の比較検討する時間もなく、適当に選んで玉砕しているように見えたんです。いい葬儀社か分からないのに、300万円ぐらいの大金を即金で払っている。しかも、それだけの金額を払いながらも、葬儀の満足度って2割にも満たないんですよ。
 私の仕事は、相談者の要望を聞いてプラン書を作ります。そしてそのプランを実行してくれる葬儀会社を選んで、依頼することです。皆さん、よく勘違いされているんですが、地元の葬儀会社でしか葬儀をあげられないわけではないんです。葬儀会社にも得意不得意がある。地元の葬儀会社が対応もセンスも悪かったら、隣町から来てもらっても構わないんですよ」

――葬儀にもセンスの良し悪しってあるんですね。市川さんは「葬儀の事前準備」を勧めているそうですが、まだ生きているうちに葬儀について考えるってことですか?

市川 昔は、葬儀という言葉を口にするだけで『縁起でもない』と言われていましたが、最近はだいぶ変わってきているんですよ。やはり映画『おくりびと』の影響は大きいですね。『事前準備だなんて不謹慎だ』って思われるかもしれないけど、葬儀を失敗するほうがとんでもないですよね。余命宣告を受けたり事故に遭ってしまうと、当然ご家族はショックで葬儀のことなんて考えられなくなってしまいます。突然のことに思考停止してしまい、決めなきゃならないことがたくさんあるのに、喪服のことばかり考えてしまう方もいたほどです。急にやってくる葬儀を後悔しないためにも、健康なうちに考えたり、家族で話し合っておくことが大切なんですよ

――それでは、生きているうちに葬儀について決めなければならないことを教えてください!

市川 葬儀で決めることは4つあります。1つは、規模。一番小さな形で、火葬のみというのがあります。東京では今3割弱の方が火葬のみなんですよ。棺を用意してもらって火葬をしたら納骨するだけ。費用は15~30万円ぐらいですね。その上は、家族だけで見送る家族葬・密葬です。式場を借りても、自宅でやってもいい。お坊さんのお金を除いて、飲食込みで80万円~120万円ぐらいですね。身内プラス故人の顔を知っている親しい方だけで、だいたい30~40人くらいまでの人数で見送ります。それ以上になると一般葬。その中でも参列者の人数によって小規模、中規模、大規模となります。規模は式場のキャパシティにも大きく関係しますので、金額にも直結するのです。おおよその金額目安は、小規模で約150万円、中規模で約200万円、社葬などの大規模クラスになると天井知らずという金額になります。

 決めることの2つめは、形式。仏式か、それ以外の宗教化、それとも無宗教でやるのか。3つめが場所。自宅でやるのか、斎場を借りるのか。4つが、こだわり。使う音楽やお花、思い出コーナーに何を飾るかなどの企画の部分です。この4つさえ考えておけば、あとはそれに適した葬儀社さんを選ぶだけです

――最低でも15万は貯蓄しておくよう準備します! こだわりのお葬式ってできますか!

市川 私が関わった中で印象的だった葬儀のひとつが、80代で亡くなられたご主人の葬儀をご自宅で行ったとあるご家族でした。そのご家族はご自宅のリビングをブルーと白の布で飾られて。棺の周りにアシンメトリーにお花を飾ったり、好きだったお酒を置いたり。玄関には故人の趣味だったレコードや切手、お写真などを明るい雰囲気で飾っていました。無宗教だったので、焼香ではなくグリーンのカーネーションを献花するという形でしたね。企画されたのは奥様と、デザイナーをされている息子さん。とてもセンスのいい自宅葬で、弔問に訪れた方々がとても驚かれていました

――ここまで自由にできるんですね! 葬儀という雰囲気がなくて素敵です。ちなみに、”生前葬”という形も考えているのですが。

市川 芸能人の方でやられた方はいらっしゃいますが、一般的ではありませんね(笑)。77歳の喜寿のお祝いの際に、お世話になった方々への『ありがとう』の挨拶も兼ねてホームパーティーをやられた方がいらっしゃいました。そういった形だと、友人の方々も参加しやすいですよね。それに生前葬を行ったから、葬儀はしなくていい、というものではありません。葬儀は残されたご遺族のためのものでもありますからね

――なるほど。そのほかにしておいたほうがいいことは?

市川 書店でも売っていますが、エンディングノートを書くのがおすすめです。遺書とはまた違い、人生を振り返ったり、葬儀や死後について自分の希望を残しておくもの。葬儀に呼んでほしい人の連絡先や、逆に呼んでほしくない人、資産の預け先などいろんなことを書いておけます。
 絶対にやっておいたほうがいいのは、遺影写真を自分で決めておくこと。変な顔の写真でも『はっきり写ってるからこれでいいか』ぐらいの感じで決めちゃうことも多いんですよ。遺影写真ってお葬式の後もずっと残ります。自分が気に入っている写真トップ3ぐらいはまとめておくといいかもしれませんね。
 菩提寺やお墓のことなども、これを機に把握しておくといいですよね。夫の家のお墓に入りたくないという女性もいると思います。向こうに行っても姑にいじめられたくないとか、娘さんしかいない夫婦が、お墓のことで心配をかけたくないからと永代供養で終わりにしてもらうとか。そういう方はお墓ではなく納骨堂に入る方が多いです。お墓が一軒家だとしたら、納骨堂はマンションタイプ。コインロッカーぐらいの大きさで、そこに骨壷を納めるんです

――ちなみに、日本で”散骨”や”鳥葬”(荒野でハゲタカなど鳥に遺体を処理してもらう方法)ってできるんですか?

市川 散骨したいという方は多いですよ。全部撒いてしまっても法律的には問題ないんですが、残された方が不安になってしまうので、手元にもお骨を残しておいたほうがいいと思います。散骨ってそのまま撒くのではなく、水溶性の紙にくるんで海などに沈めるんです。そのまま撒いたら、風で舞い戻ってきて、撒いた本人が被ってしまうことも考えられますから。

 鳥葬は日本ではできません。主にチベットで行うものですけど、チベットで鳥葬を行う場所というのはとても神聖なところで、いきなり行っても入れてもらえないそうなんです。遺体をなんの理由もなく、日本から海外に搬送することもできないでしょうし。もう日本の戸籍とか関係なくチベットにずっと住んでそこで亡くなって、という超法規的な場合ならなくもないかもしれないですけどね。鳥葬は現実的には難しいと思いますよ(笑)

――そうですか、残念です……。家族と話そうにも「葬儀なんて考えたくもない」と言われてしまったら?

市川 私自身プロにもかかわらず、母の葬儀が終わった後に後悔が残ったんです。何も要望を聞いてなかったので、『母はピンクが好きだったからピンクの花を飾ってあげよう』みたいな感じで決めてしまった。家族に葬儀について聞くなら、何も心配事のないときのほうがいいと思います。縁起でもないなんて言われたら、『今はこれが普通なんだよ』と言ってみては。でも私も父親から聞き出すのは大変でしたけどね。母が亡くなって1年後ぐらいに、『お父さんのお葬式はどうしてほしい?』って。もちろん最初は『縁起でもない!』でしたけど、そのうちに話せるようになり、『こないだああ言ったけど、やっぱりこうしたい』なんて話せるまでになりました。けっこう深い話に発展したりして、いい時間になると思いますよ。
『死ぬまでにしたい10のこと』という映画で、自分がこれからしたいことをリストアップしていましたよね。これを機に、周りにありがとうって言ってみるなんて素敵じゃないですか? それって決して死ぬ準備ではなく、今後をいきいきと生きていくためのアクションなのだと思いますよ

 30代で葬儀について考えるのは、まだ早いかもしれませんが、心構えとしてエンディングノートや写真の整理はすることが、ひいては毎日をいきいきと過ごすことに繋がっていきそうです。その人らしいお葬式、自分らしいお葬式ができるように、「いつ死んでもいいように」という言い方は大げさかもしれないけど、後悔のない毎日を過ごそうと、そして葬儀の前に結婚式もできるといいなと思いました!

市川愛(いちかわ・あい)
葬儀相談員市川愛事務所「リリーフ」代表。服飾メーカーに約7年間勤務し、葬儀エージェント(葬儀社紹介)企業に入社。04年に独立し、日本初の葬儀相談員として累計3,400件を超える相談や質問に対応するほか、全国各地で講演も行う。著書に「身近に亡くなりそうな人がいたら読む本」(主婦の友社)「お葬式の雑学~意外と知らない「死」のマナー~」(扶桑社新書)など多数

「リリーフ」HP 
・ブログ「葬儀相談員の日々」
・参列マナーの総合サイト「早分かり葬儀参列」

『お葬式の雑学 (扶桑社新書) (新書)』

お見送りしてくれる相手みつけなきゃ!

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