五月女ケイ子の映画批評「イケメンの鼻の穴」 【5穴目】

実は本性? 輝きを魅せた藤原竜也の油断した”のぞき”姿

2010/02/24 17:00
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注目の映画に出演しているイケメンを、鼻の穴までズズイと観察。スクリーン越しに伝わる、彼らの隠したい恥部を五月女ケイ子がのぞいちゃいます! 

【今月の映画】パレード

 私事ですが、子を授かりまして、牡牛座の子になる予定です。偶然、藤原竜也さんも牡牛座の男。牡牛座の男というものを観察しながら見ました。なんでも牡牛座の基本的性格は

・牛のようにもくもくとマイペース。
・自分の興味ないことには興味を持たない。
・地道で堅実。変わることが苦手。

 時代が移ろい変わっても、確かに藤原さんは、ずっと変わらない。細身の体、細身の服、肩の力み、少年性。髪型から眉毛の整え方まで、ずっと変わらずに、藤原竜也はそばにいてくれた。ずっと変わらないふるさとの景色のように安心感を与えてくれる存在。まさに草原の牛。それが牡牛座の男。ちなみに他には、三宅裕司さん、秋元康さん、美輪明宏さん、故森繁久彌さん、欽ちゃんなどが……。確かにひとつのイメージのまま、変わらない人が多いのです。

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 そんな「牛イケメン」藤原さん。今回、28歳の役と聞くだけで衝撃です。やっぱり28歳にはみえません。不精ひげも、藤原さんだと砂鉄がついた磁石に見えます。その前にヒゲと認めたくない自分がいます。藤原さんのヒゲがヒゲにみえた時。「牛イケメン」が終わり、新しい藤原竜也の始まりかもしれない。

 見どころは、藤原さんら4人が共同生活する部屋にやってきた謎の少年を尾行するシーン。かなり油断した藤原さんが観れます。膝のゆるみ具合も、後ろから膝をチョンとやってやりたくなる無用心さです。彼の後ろ姿をこんなに長時間眺めたのも初めてではないでしょうか。ゴルゴばりに背中を見せなかった藤原さんの新境地です。でも、少年を窓からのぞく隙ありの藤原さんは、不覚にもかっこよかった。私の中の藤原史上一番かもしれません。イケメンは弛緩したとき、イケメンの本領を発揮するのだ。

 今後さらに変わるのか、隙のない藤原さんに戻るのか。楽しみです。

■”鼻の穴”診断結果

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———-『パレード』はこんな映画———-

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(C)2010映画『パレード』製作委員会

都内のマンションに暮らす男女4人の若者達。映画会社勤務の直輝、イラストレーターの未来、フリーターの琴美、大学生の良介。それぞれが不安や焦燥感を抱えながらも、”本当の自分”を装うことで怠惰に続く共同生活。そこに男娼のサトルが加わり、町では女性を狙った暴行事件が連続して起こり始めた――。

出演:藤原竜也 香里奈 貫地谷しほり 林遣都・小出恵介
音楽:朝本浩文
監督・脚本:行定勲
原作:吉田修一 
2月20日(土)渋谷シネクイント、新宿バルト9ほか全国ロードショー
『パレード』

五月女ケイ子(そおとめ・けいこ)
脱力とインパクトが共存する、一度見たら忘れられないイラストと独特の観察眼によるコラムが人気の異才イラストレーター/脱力劇画家。書籍に『乙女のテレビ時間』(メディアファクトリー)、『五月女ケイ子のレッツ!!古事記』(講談社)ほか多数。テレビ出演、CDジャケット、演劇とジャンルの垣根を超えた活動を展開中。
keikosootome.com

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最終更新:2019/05/17 20:28
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