『狂人失格』刊行記念 中村うさぎインタビュー(後編)

中村うさぎが「本当の自分」を求める果てにみつけた”自己破壊”とは? 

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【前編はこちら】

――”「自分探し」の果てに辿り着いたもうひとりの私?”と帯文にもありましたが、「私を見て」から始まって、最終的には「私を見ないで」と言っています。この作品を通してうさぎさんは自身を破壊しているのではないか、と。「本人」(太田出版)連載時のタイトルはまさに「自分強姦殺人事件」でしたよね。

中村うさぎ(以下、中村) 私のやってることって結局、破壊作業なんだと思う。この本も自己破壊のひとつだろうね。だけど、全部破壊しちゃったら後に何が残るんだろう。答えはまだ出てないし、答えが出るかもあやしいもんだね。だからいつもプロセスの話でさ。

――買物依存症やホストクラブ通い、整形手術など、次から次へと変身していくようなプロセス。それは「中村うさぎ」の「更新」というより「破壊」に近いですか?

中村 近いかもしれないな。「更新」が「前進する」っていう意味をふくんでいるとしたら、私はちっとも前に進んでない。「次々に新しい自分を装着する」っていうコスプレ的な意味であれば、たしかにそういうところはあるかもしれないけど、自分ではそんなつもりはないですね。
 前にNHKの番組で司会を一年間やっててね。それまで「恥ずかしいことばっかり書いて」って苦い顔してた母親が「偉い!」って言い出したんですよ。世間にもそんなふうに思われるようになったら私もおしまいだと思って、飛び込んだのがデリヘル。自分のポジショニングが固定しそうになったら壊していくっていう作業をくりかえしてるんだよね。

――ここまでご自身を掘りまくって破壊して、うさぎさんの今後が気になります。

中村 最近、壊しすぎちゃったことに対する反省の気持ちがあってさ。20代のギャルと喋ってると「本当の自分なんてない」っていう哲学なんだよね。目から鱗だったよ。私はギャルが羨ましくもあって、「本当の自分」なんて求めなければ、私の人生に意味はなくなってしまうけど、ここまでの破壊作業をしなくてもよかったのかなって。
 でもさ、すべての物語や幻想を壊された若い子が「自分たちには何も残ってません」って言ってるのを聞いて、「しまった、やりすぎた」って思った。エヴァンゲリオンの主人公も最後は闘うことすら拒否したじゃん。あれが現実なんだと思うんだ。壊しすぎると生きていくことが殺伐としちゃうでしょう。幻想でもいいから課題を残すってことを私たちはしなくちゃいけないんだよ。だから若い子たちともっと話したいし、彼らが何かを見出せるようにサポートできたらって、心の底から思ってる。
(取材・文=五所純子)

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『狂人失格』(太田出版)/中村うさぎ
作家志望の電波系ネットアイドル、優花ひらりとの接触から始まった事件。中村うさぎが画策したのは文壇への復讐か、優花ひらりの代理殺人か、それとも自分殺しだったのか。自意識にがんじがらめになった、女たちの鏡地獄が見えてくる。私小説の新境地。

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