[女性誌速攻レビュー]「STORY」3月号

「女ののど自慢」的な半生も武器! 「STORY」が掲げる自己肯定ワールド

2010/02/01 21:00
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「STORY」3月号/光文社

 毎号毎号、バブルにかすりもしなかった20代、30代を顧みもせず、40代に向けて虚構という名のストーリーを語ってくれる「STORY」。輝ける40代、新しい40代。現在および過去ですら輝いてはいない私たちだからこそ、お手本にしなければなりません。それでは3月号のラインナップを見てみましょう。

<トピック>
◎『恋心』、忘れてない?
◎”男前”も、どんどん”可愛い”へ参入中!
◎春を先取り!「小悪魔」メーク

■40代のガツガツさを”恋”と翻訳

 ”想像だけでオシャレも活性化! 永遠のアンチエイジング薬として考えました”と、「STORY」らしい自分本位のキャッチが心地よい『恋心』特集。”毎日の恋心””夫婦の間に恋心””身近に恋心””恋心アゲイン””永遠に恋心”とまぁ、恋だけでこれだけのバリエーションをつけられるのがさすが「STORY」。思春期の男子にも似た、たくましい妄想力です。

 ”毎日の恋心”では、「STORY」セレブのトリー・バーチと今号のカバーガール、アッキーこと清原亜希が日常の恋心について対談しています。両者とも男の子を持つ母親セレブとして、独自の子育て論を展開。

ト「息子と過ごすことは、いい意味でスリルがありアドレナリンが出て、いちばんドキドキすることだわ」

亜「わかる! 不思議だけど、夫とはまた違う感情で、息子たちに恋してる気持ちがあります」

 と”息子LOVE”を語りつつ、

ト「でも、亜希。そのキラキラした美しさは、”息子LOVE”だけではないはずよ」

亜「ふふ、実は最近偶然に人気アイドルと遭遇することが続いて、思わずときめいてしまったの(笑)」。

 その、アッキーを胸キュンさせたアイドルというのがNEWSの山下智久と錦戸亮なんだそう。不倫報道がやまない夫・清原和博と真逆なタイプを挙げるところが、夫に愛されない妻を体現しているようで痛々しい感じに。

 ほかにも、「溺愛夫」「年下夫」持ちの40代にシャレ心ありとか、信頼できる仕事のパートナーへの恋愛とは違う恋心ありとか、要するに全神経を集中して”恋してる”自分を妄想せよというご教示が掲載されている「STORY」。息子から隣の旦那まで、オカズには事欠かない40代女性の日常を鋭くえぐる渾身の特集でした。

■今月も変わらぬ自己肯定

 「男前カワユイ化計画」でも、卓越した語彙力はとどまるところを知りません。「カッコイイんだけど可愛い」スタイルを、辛さが甘さを引き立てるオシャレ”塩大福”と表現するそのセンス! 自分たちはとどのつまり、いつか巣鴨名物塩大福に到着することを悟り、あえてそのプロセスを楽しもうという逆転の発想か? と勘繰りたくなるほどです。

 興味深かったのは”40代の今こそ「脱・優等生」宣言!”。40代初タトゥー、初ハーレーダビットソンなどを経験した作家の村山由佳を筆頭に、数々の元優等生たちが登場。「子供の受験を経て、もぬけの殻になった」や「結婚、離婚、交通事故を経て自分の人生を考えた」など、今はなき『ルックルックこんにちは』(日本テレビ系)の名物コーナー「女ののど自慢」ばりの半生がつづられています。

 極めつけは”優等生だった頃の私”写真の数々。昭和末期~バブル期の匂いぷんぷんの写真を敢えて掲載する勇気はさすが怖いもの知らず。というか、それすら誇りに思うほどの精神力が「STORY」の世界観を支えているといっても過言ではありません。

 その他、もんぺにならない/MCハマーにならないサルエルパンツの着こなし術や、元ミス6人による回想録「元ミスにドラマあり!」などなど。地球は40代の為に回っている的な自己肯定能力に完敗いや乾杯の、「STORY」3月号でありました。
(西澤千央)

清原和博 番長伝説 1985~2008 『FRIDAY』が追い続けた24年間

海老蔵ではございません

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最終更新:2010/02/01 21:00
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