『夜にはずっと深い夜を』刊行記念インタビュー

鳥居みゆきの”ケータイ小説”は、「”生きること”がテーマなんです」

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本をも敵視する鳥居さん、さすがです!

 孤高の女芸人・鳥居みゆきさんが、初めての著書『夜にはずっと深い夜を』(幻冬舎)を上梓。過剰な欲望やコンプレックスを抱えた女たちを主人公にした短編小説集に込められたテーマとは何なのか? 女友達がいないと言いながらも執拗に女を描いた理由は? 何を聞いても思わぬ角度から答えが返ってくる”暖簾に腕押し”的インタビューながらも、その素顔に迫ってきました。

――まずは、この本を書くきっかけについて教えていただけますか。

鳥居 え~、いいですよ。出版社の人から、「何かやる?」って言われて、「やる」って言ったんです。それで、そうなりました。

――こういう小説を書くということは、初めから決めていたんですか?

鳥居 いえ、決めてないです。初めはファンタジーを、ハリーポッター的なやつを書く予定だったんですけど、いかんせん、私、現代っ子なもんで、携帯で打ってたら文字化けしちゃったんですよ。

――これだけの量を、携帯で書かれていたんですか。

鳥居 そうです。ケータイ小説です。今流行ってるもんね。だから私ね、これを書くことによって、ものすごい早打ちができるようになりました。いつ人からメールが来ても、ものすごく速く「いいよ、ごはん行こう」とか送れるようになったんです。まだ一度もそういう誘いは来たことないんですけど。

――そのうち、きっと、ね……。本の話に戻りますが、鳥居さんは自分が書いたものは、あとから練り直したりします?

鳥居 私、過去が嫌いなんです。自分が出てるテレビとか雑誌とか、絶対見ません。だから「字が間違っているよ」とか言われたら、こうやって(指の隙間から)見て直すんです。過去は恥しかないから。

――ちなみに『夜にはずっと深い夜を』という本のタイトルはご自分でつけたそうですが、どういう意味なんですか?

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質問に答えるときは意外と乙女な表情

鳥居 私いつも、まぶしいのが苦手で、昼間が苦手だから、昼間も全部夜だったらいいなと思うんです。でも、もし本当にそうなったら、夜の時間帯にはもっと暗くなってほしいという欲が出てくると思いませんか? それが人間の欲深さなんです。でも、それは人間らしくていいと思います。

――なるほど~。

鳥居 あ、わかったんですか。私はわかりませんけど。

――……。登場人物が殺されたりする描写も多いのですが、この小説のテーマは何ですか?

鳥居 やっぱり、生についてです。生きるってこと。そういうの(描写)を見て、生きるってことをわかってほしいんです。

――鳥居さんは、死に対する恐怖はありますか?

鳥居 あります。小さいときからずーっと、父親から教え込まれてきました。いつも死を目前にして生きろ、と。そうしないと危機感がないから、何もやることに意味がなくなる、って。

――濃く生きろ、ということですね。

鳥居 はい、濃く短く生きろって言われたんです。父親の、知り合いの人に。

――父親じゃなかったんですね……!? この小説では、不幸な境遇に陥る女性たちが次々に出てきますが、鳥居さん自身は今までの人生で不幸な体験をしたことはありますか?

鳥居 黒猫が横切ると不幸とか言うじゃないですか。だから私、黒猫に横切られまいとして、黒猫が行く方向に平行に走っていったことがあるんです。そしたら、車にボーンって当たって、救急車に運ばれました。

――割と明るい不幸じゃないですか。

鳥居 本当の不幸って、あったら口に出せないと思います。

――確かにそうですね。

鳥居 あと、前に歯科助手のバイトしてたんですけど、顎関節症(がくかんせつしょう)の説明をしすぎて、顎関節症になってしまったことがあります。がくかんせつしょう、って言いすぎて、あごがガクガクになっちゃって。あと、駅で、普通に電車とか待ってるだけなのに、「やめなさい!」っていきなり止めにかかられたり、高校の時に両思いだと思っていた人の家のドアノブに「ナイススティック」(菓子パン)を下げてたら、警察に通報されたり。勘違いされやすいんです。私、そう言われてみればちょっと不幸なのかもしれない。高校3年まで友達が1人もできなかったし。

――女友達もいないんですか?

鳥居 いないんです。昔からずっといません。そりゃあ、電池で動く友達とかはいましたよ。でも周りの人が「あの人、独りが好きなんだよ」って言ってて。私だってコバルト文庫ばっかり読んでたくなかったですよ!

――どうして友達ができなかったんでしょうね。

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自分の本すら嫌いなようです……

鳥居 相手が勝手に「期待した答えが返ってこない」「もう無理」とか言うんです。あんまりわかんないですね。人は怖いです。おっかないです、人の心は。

――でも実はそんな鳥居さんも、女同士で楽しくおしゃべりをする、ガールズトーク的なものには密かに憧れているという話も聞きましたが。

鳥居 そうですね、ガールズトークに対する憧れはあります。なんか、オチのないトークをすればいいんでしょ? それはわかってるんですよ。でも、難しいですね。

――友人や知人から、恋愛や仕事のことで悩み相談をされたりすることはないんですか?

鳥居 そういうとき、私すぐ「百年後はみんな生きてないから」って言っちゃう。それで芸人をやめてった人が何人もいます。「百年後のことを鳥居に言われて、考えてみたら、もう何もやんなくていいやってなったよ」って廃人になるんです。

――鳥居さんとしては、前向きな意味でそういうアドバイスをしているんですよね。

鳥居 いや、別にそうでもなくて。今やってることも全部、百年後は何もないよ、って。それでもはい上がってくる人がいいですね。

――最後に、サイゾーウーマン読者に向けて、この小説の見どころを教えてもらえますか。

鳥居 私のことを嫌いな人たちに読んでほしいです。これを読んでも嫌いだったら、もうよっぽど嫌いなんだなって選別できるから。これ、おっかなそうに見えて、意外と入りやすいところがあるんで、ちょっとした付け合わせみたいな、箸休め的な感じでさらさらっと頂いてほしいですね。夏はやっぱりゆず胡椒で。

――夏、終わっちゃいますけどね……。
(インタビュー・文=ラリー遠田)

『夜にはずっと深い夜を』(幻冬舎刊/1,365円)
女芸人・鳥居みゆき初の書き下ろし短編小説集。「きたないものがきらいなきれいなお母さん」「真夜中のひとりごとが止まらないシズカ」「地獄にとりつかれた女」など、壊れゆく女たちの孤独が描かれている。鳥居さんいわく「『だんごむし』は私のことを書いたんです。私のことを知りたい人は『だんごむし』を読めば分かると思います」とのこと。するめのごとく、読めば読むほど味が出て、変化してくるショートショート集を堪能あれ。

『夜にはずっと深い夜を』

文体もこだわっている様子。

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