[女性誌速攻レビュー]「GINGER10月号」

ほぼパーフェクトな今月号の「GINGER」、唯一の問題は山本モナ!?

2009/08/24 21:00
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「GINGER」09年10月号(幻冬舎)

 女性誌レビューには久々の登場となった「GINGER」。でも書かずとも、毎月きちんとチェックし、その進化に目を見張るばかりです。今月は6月号ぶりに(というか、もう?)表紙&巻頭インタビューに安室奈美恵が登場。インタビューには12ページも割いているというから、どんな発言が出てくるのか、楽しみ。では早速、トピックから見てみましょう。

<トピック>
◎安室奈美恵 初めて語る、伝説の裏側
◎黒のおしゃれで秋がはじまる!!
◎秋の大人ワードローブ増強計画
◎大人の女の知的モテ講座

地味だけど、しっかりと読ませる安室奈美恵インタビュー

 先日発表された「2009年的ファッションリーダー」(TSUTAYA on line)でも、堂々の1位に選ばれ、話題になった安室奈美恵。30代でも第一線で活躍し、私生活でもシングルマザーでありながら生活感を微塵も感じさせない女性とくれば、まさに「GINGER」のコンセプトにぴったりなのでしょう。

 インタビューは、ウワサの大物プロデューサーのもとを離れ、セルフプロデュースし始めたころからをたどるもの。一部分を引用して面白味が伝わるキャッチーな内容では決してないけど、アーティストの部分を前面に出した”ファン向けインタビュー”でもなければ、私生活にだけスポットをあてた”女として生きるには系”でもなく、ほどよいバランスで読みごたえアリ。基本的に絶賛姿勢ですが、インタビューという企画を差し引いてみれば、合格ラインを越えている内容に。写真もスタイリングも、31歳の安室に合っていて、12ページを有効に使っていました。う~ん、幻冬舎は人にズームを合わせたら、やっぱり強し!

モデルが持つ多面性を引き出す、ファッションページ

 創刊号からの特徴ですが、「GINGER」はモデルの起用が、今までの女性誌と比べてもずば抜けてうまい! たとえば今月号の「GINGERブランド図鑑I ラルフ・ローレン」。一つのブランドの歴史やコンセプトを掘り下げるコーナーのようですが、このコーナーのすべてのアイテムを着こなすのが長谷川潤。長谷川潤といえば、「ViVi」(講談社)では、カジュアル担当ですが、ラルフ特有のクレリックシャツなどのトラディショナルスタイルにも挑戦。ほかにもエンブレムつきの金ボタンのブレザーやトレンチコートなど、一歩間違えればダサくなりそうなアイテムを難なく着こなしています。

 「私を変える”黒”を探す」というページでは、山田優が卒業した「CanCam」(小学館)では見せなかった顔を見せています。サルエルパンツやダメージデニム、レザースキニーなど「CanCam」では着ることがないだろうアイテムを、カッコよく着こなしていました。

 一方、今なおバリバリの赤文字系「Ray」(主婦の友社)でメーンモデルとして活躍している香里奈も、「GINGER」では全身黒のコーデで大人っぱい面を出したり、ショートカットのウィッグでロックっぽい一面を出したり。むしろ「Ray」でのピンク系ひらひらスカートが無理しているんじゃないかと疑うぐらい、「GINGER」でのコーデがハマってました。

なぜに、山本モナ……

 ここまで絶好調の今月の「GINGER」。ただ、ここから暗雲が立ち込めることに。というのも、「絶対買い! のレザージャケットおすすめリスト」にモデルとして登場したのが、山本モナ。この企画自体は、「GINGER」読者世代(20代後半~30代前半)がそろそろ本物のレザージャケットを買おうと思った時にナビとして働くいい企画。
 
 だけどモデルが……。ただでさえハデ顔なのに、さらに寸分のスキもないぐらいフルメークを施した気合いの入った顔面、明るすぎたオレンジにカラーリングしたヘアスタイル、顔と同じぐらい主張したイヤリング、そこに合わせられたレザージャケット。山本モナがもう、銀座のママにしか見えない……。その奔放な言動で同性に嫌われがちなモナなのに、このケバケバしいだけのモデルには、ぜったい支持は得られないと思います。モードでもゴージャスでもなく、銀座のママの私服だもん。

ポスト「an・an」!? 「GINGER」の欠点は読み物ページ

 ファッションページのほかにも、山田詠美や佐藤優、茂木健一郎といった豪華執筆陣によるコラムが売りの「GINGER」。そのブランド力を破壊する勢いなのが、「大人の女の知的モテ講座」。扉ページのリードには

「オトコにモテたいから」とモテ服やモテメイクの研究にいそしむほど、GINGER世代は暇ではありません。

 と、強気のリードが叩きつけられていたので、期待は膨らむばかり!!

 早速、内容を見てみると、まずは導入として「本命彼女としてモテそうな女性有名人は?」のアンケート結果を掲載。優香、内田恭子、永作博美と順当なメンツが揃っているところに、柳原加奈子の文字。私は個人的に好きですが、男性のみなさん、どんな感想をお持ちでしょうか!? 

 続いて、早稲田大学の教授に、モテることを科学的に解説してもらうページへ。このあたりから「an・an」臭がプンプン香ってきます。結果、

・男は五感で女を選んでる
・家庭的は最強の武器
・負のオーラには拒否反応
・会話力のある女は男を上げる

といった、耳タコの回答が出揃いました。ほかにも一般男子に聞いた「彼女にグッときた瞬間」、「私の周りのモテ女エピソード集」などが並び、ミス・ユニバース・ジャパン ナショナルディレクターのイネス・リグロンに「モテ女とは?」を聞いちゃうあたり、もう「an・an」! せっかくほかにない方向性な雑誌なのに、このページだけが残念。

 と、今月号はファッションページは、ほぼパーフェクトなのですが、ネックは山本モナ。来月号からも登場するのでしょうか、それだけが心配(&期待)です。読み物ページも来月号は、どんなテーマなのかしら……はっ、すっかりトリコにされている感がありますが、来月も23日を楽しみにしてますからね~!

『世界一の美女の創りかた』

賛否両論あるお方

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最終更新:2010/01/04 16:34
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