爆発的ヒットの裏側を検証

“幸せマインド”を作る、姫系コスメの実力

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「ベルサイユのばら アントワネット 密着マスク」

 不況だと言われる時代ゆえなのか、「盛り」だの「メガ」だのといった大食い系飲食店で使われるようなテンションの上がるキーワードが、美容の世界でも使われてきている。特に目元に対するデコ感(デコラティブ化)は激しくなる一方だ。その最たるものが「姫系メイク」である。今回は、「姫系コスメ」のヒットの裏側を探っていきたい。

■「自己愛」という名の満足感に浸る姫たち

 7月27日、日本の歌姫・浜崎あゆみが世界56カ国で展開されている英国のトップメイクブランド「リンメル」の初代アジア圏イメージキャラクターに起用され、8月上旬から目力を前面に押し出したアイカラーの広告がアジア各国で見られるようになる、というニュースが飛びこんできた。

 まだまだ日本の歌姫が、歌だけでなくファッションやメイクでもアジアで影響力を誇っているという証拠だろう。

 「小悪魔ageha」(インフォレスト)などのギャル雑誌が、姫メイクや姫ファッションの特集を組み始めた頃から、”姫=キャバ嬢のように盛った髪型とドレスをまとった夜の黒蝶”や、そのようなファッションに憧れ真似をする女子を指すようになってきた。

 ギャル系の姫「姫ギャル」の他に、ロリータ系の「姫ロリ」というジャンルも存在している。「姫ロリ」は基本的に露出が少なく、「姫ギャル」に比べて男目線を意識しておらず、ロリータコミュニティーの中での「かわいさ」を共有する傾向にあり、コスプレ的な要素が強いのが特徴である。

 どちらにしても、自己満足・自己愛的な要素を孕んでおり、ナルチシズム抜きには語れないジャンルといえる。そして、それが一般的な広がりをみせ、「姫」はかわいい+αを持っている「かわいいの最上級」としての概念を作り出していったように思う。

妄想かき立てる姫系コスメ
 
 「姫」ブームはコスメ業界にも影響を与えている。姫のキャラクターをパッケージに起用した「ヒロインメイク」「美肌一族」や、私が企画に携わっている「ベルサイユのばら」など現在では、数多くの姫系メイクが発売されている。

 アニメをパッケージデザインに起用することで、「こうなりたい」という消費者のイメージに直接働きかけられることが、他のコスメブランドとの差別化になっている。

 また、若干の「お笑い」「ギャグ的」な要素を付加できるため、美しくなりたいという願望に加え「使っていて楽しい」「ワクワクする」という”テンションが上がるコスメ”というのも支持される理由かもしれない。

 例えば、「ベルサイユのばら」のシートマスクは、商品のウリである”しっかりと密着する”特殊なシートマスクを採用していることを訴求したかったので、アントワネット(&フェルゼン)とオスカル(&アンドレ)がそれぞれパートナーとしっかり抱擁しているシーンを選び、キャッチコピーを「もう離れない、離さない」と入れた。

 これはアニメの名場面を採用することで、商品特性をただの製品情報として入れるのではなく、高揚感やドキドキ感をベルばらの原作を知らない人達にも伝えられたら、と意図したもの。狙いが当たり、購買層は「ベルばら」世代(40代)から、「ベルばら」を全く知らない20代の若い女の子まで、「パッケージのデザインでおもしろい、かわいい」と購入してくれ、「ベルばら」ファンにとどまらない広がりをみせている。

■コスメの作り方を変えたアニメ系コスメ

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「ベルサイユのばら」シリーズから8月1日
に新商品の付けマツゲが発売

 そもそも化粧品を開発するにあたっては、核となるような成分や新機能を軸として開発することがほとんどであり、それをいかにブランディングしていくかに時間と労力を注ぎ込むというのが、今までの一般的な開発の進め方である。

 しかし、「ベルサイユのばら」シリーズのコスメに関しては、今までの化粧品のつくりかたとは全く逆の発想が必要とされた。

 もうすでに認知された、ある意味ブランド化されたアニメをいかにコスメと融合させるか、
また化粧品としてのクオリティを保ちヒットさせるかということは、私の課題であり、プランナーとしての挑戦でもあった。

 発売当初は、「アニメ系コスメは使用感とか仕上がりに期待できないのでは?」という潜入感を持たれていたのも事実である。しかし、商品の品質にこだわって物づくりをした結果、口コミでだんだんと製品の評判が広がっていった。

 「ベルサイユのばら」シリーズのなかで特に口コミで今でも売り上げを伸ばし、人気なのがアイライナーだ。2007年10月に発売してから2年近く、名だたる有名ブランドを押しのけアットコスメの人気ランキング上位にランクインし、現在もランキング1位になっている(2009年7月28日時点)。

結局女は「幸せオーラ」出したもの勝ち!

 現在の世界的な不況の状態から、いきなりバブル期のような好景気に戻るとは思えない。社会に閉そく感が漂う中で、女性達が綺麗に輝くにはどうしたらよいのだろうか。

 それは「妄想」により幸せマインドを手に入れることだ。

 成功哲学の本によく書かれているが「希望する状況にすでにもうなっていると」想定して日々を過ごし、行動を起こすことが重要だという。

 しかし、いざやろうと思ってみると、今手にいれていないものを手に入れていると思うことはなかなか難しい。そんな時こそ姫系コスメのような妄想しやすいコスメをうまく活用してはどうだろうか。

恩田 雅世(おんだ・まさよ)
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事についての執筆も行っている。
■公式ホームページ「オンダメディア」

『@cosme公式ガイドブック クチコミランキング2009年版 120万人が選んだコスメ 』

みんな幸せになりたいんだよね

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