爆発的ヒットの裏側を検証

実は液状コンシーラ!? 「BBクリーム」はなぜ売れたのか

2009/06/28 11:45
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元祖(?)BBクリームの「HANSKIN BBトータル
クリーム」

 いまや、雑貨店やドラッグストアのメークコーナーに必ずと言っていいほど大きく展開している「BBクリーム」。化粧品従事者からすると、なぜこんなにも売れるのか首をひねりたくなるような売れぶりだ。今や使っていない女性はいないのではないか、というくらいギャルからおば様方まで幅広い年代に人気を呼んでいる。元祖はハンスキン社だといわれているが、以来さまざまなメーカーから次々と「BBクリーム」が投入されて、あれもこれも「BB」と付ければいいのか、というくらいの乱立振りに人気の高さが伺える。今回はそんな「BBクリームのヒットの裏側を探っていきた
い。

■そもそもBBクリームとは何か?

 BBクリームの「BB」とは、Blemish Balmの略称で、ブレミッシュ(欠点・傷)を補うクリームという意味があるそうだ。美容大国・韓国発のコスメで、元々ピーリングなどの皮膚科手術などで刺激を受けた肌を鎮静し、保護するための目的で作られたクリームがはじまりである。美容医療を受けて敏感になった皮膚を落ち着かせて保護膜を形成し、外部の刺激から守る機能を果たす商品として開発されたのが「BBクリーム」なのである。

 当初、皮膚科やエステなどで10万ウォン以上(約7,500円)の価格で売られていたが、一昨年から様々な韓国コスメブランドから低価格のBBクリームが発売され日本にも上陸している。韓国では、「女は美人であればあるほど良い」という不美人には身も蓋もない不文律がある。その為、まるで髪型をチェンジするかのように、気軽に整形を繰り返す女子が多いという。そんな美容大国ならではの需要と供給がマッチしたのではないかと考えられる。

 いまや価格面だけでなく、機能的にも紫外線防止効果やアンチエイジング、美白効果など、様々な付加価値を加えた熾烈な開発競争が行われている。

■70年代の”こってりメイク”そのもの?!

 「BBクリーム」が売れた一つの理由に、「オールインワンタイプ」のマルチさがあげられる。「美容クリーム」「化粧下地」「ファンデーション」「コンシーラ」「UVクリーム」、それら全てが一つになったというのがひとつのウリだが、今まで日本で発売していたファンデーションや化粧下地にも、このように複合的な機能を持たせた製品は存在していた。
 
 処方的な観点から見ると、実は全く新しいものではない。むしろ、1970年代のこってりメイクをしていた頃の女性達が使っていた、カバー力のあるファンデーションとかなり近いものになっているのである。実際に触ってみると、モッタリとしたかなり重たいテクスチャー。極端に言えばまるで”液状コンシーラ”のようなカバー力を持っている商品なのである。

 では、なぜヒットしたのか?

 肌への優しさとカバー力という、本来相反すると思われていたものが両立した製品であることを十分に訴求できた点と、韓国発のすごいコスメを発見した! とアピールした美の伝道師、IKKO姉さんの影響力だろう。心は乙女であれ、生物的には紛れもない中年男性である姉さんの素肌のキメの粗さや、髭剃りのあと、シミ・クスミ等それらすべて消し去り、ちょっとした「いい女風の肌」にまで仕立て上げるところを見せられたら、欲しくなるのが女心というものだろう。

■自分なりのポイント使いで「BBクリーム」マスターを目指せ!

 時代は巡るというが、化粧品の流行にもあてはまるのかもしれない。先に述べたように、70年代のバッチリメークはバブルを頂点に花開き、バブルがはじけた後は、一時期ナチュラルメイクが流行っていた。最近では”アゲ嬢”のメイクが若い女子達に「可愛い!」と言われ、もてはやされていることからもわかるように、人形のように作りこんだ肌、パッチリと大きく見開いた目が人気である。素人とキャバ嬢の区別がつかないほど、一般の女の子達のメイクのティストが”夜化”しているといえる。そんな風潮の中「BBクリーム」が登場し、若い世代にも受け入れられたのだろう。

 夜の特殊なスポットライトの下では、まばゆく輝くスキのない人工的な肌も、昼間の太陽光の下では、浮いてしまうということもありえるので要注意だ。「白浮きせずに自然な肌色に」と謳っている「BBクリーム」もあるが、処方上これだけのカバー力を出そうとしていれば、理論的にはナチュラルな仕上がりとはならない。

 隠すところを隠して自然な美しさを手に入れるには、ただ顔全体にベターッと塗れば良いというものではなく、使用量・使用方法を自分なりに研究して使いこなすことが必要だろう。コンシーラ代わりに目の下のクマに使ったり、下地として極薄く塗った後に、パウダリーファンデーションを重ねて塗るなど、自分の肌質・肌色を考えて研究すれば、自然に欠点をカバーできるだろう。

 いずれにしても、短期間で「BBクリーム」という新たな化粧品カテゴリーを確立したことは美容業界の中でも大きな話題となった。今後「BBクリーム」というカテゴリーが「化粧水」や「美容クリーム」と同じような定番アイテムとして定着していくのか見守っていきたい。

恩田 雅世(おんだ・まさよ)
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事についての執筆も行っている。
■公式ホームページ「オンダメディア」

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最終更新:2019/05/22 20:30
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