[TVツッコミ道場]

『天地人』衝撃の最終回、なぜか半年も前に日テレで放送!?

2009/06/15 12:00

 NHK関係者からしたら、「何してくれてんねん!?」の一言を叫ばずにはいられなかったのではないだろうか。

 今回ツッコませていただくのは、6月9日放送の歴史バラエティー『衝撃! 女たちは目撃者 歴史サスペンス劇場』(日本テレビ系)。どうしてNHKが「何してくれてんねん!?」と言うのかといえば、それは、番組欄にサブタイトル扱いで紹介されたアオリ文句が、こんなものだったから。

「ヒーローが愛した女達が暴く歴史の真実……”天地人”最終回まで完全網羅……妻・お船がみた直江兼続のすべて……」

 ……天地人ブームに乗っかるのは、まあ、アリとしよう。人気の大河ドラマに便乗するのは、珍しい話でもない。しかし「天地人」と、放送中の他局看板ドラマの名前を掲げ、「最終回まで」見せるというのは、さすがに「日テレは何でもアリなのか?」と制作者としてのプライドを疑わざるを得ない。メーンタイトル通り、近年流行りの「女性の視点から見た」的なところが、いちおうオリジナリティーを感じさせる部分ではあるが。

 番組を見てみると、冒頭から「大河ドラマ『天地人』でおなじみ」「『天地人』で大人気のお二人」と、いきなり『天地人』を多用。その後も、

「この後、『天地人』最終回まで、直江兼続夫妻の秘められた人生を一挙大公開!」
「『天地人』最終回まで半年分!! まだ誰も見たことがない衝撃の新事実が明らかに」

 と、あおるあおる。やりすぎだろ、日テレ。

 ちなみに日テレ版の兼続を演じるのが、この日のお昼の番組に番宣で出て、中山秀征につぶされ気味だった忍成修吾。NHKでは常磐貴子が演じている、妻・お船は櫻井淳子。このふたり、なぜかTBSの『スマイル』でも裁判員として共演してるけど、今回は夫婦。

 歴史の側面を、再現VTR風のドラマ仕立てで見せてくれるのが番組のスタイルなのだが、VTRは秀吉の妻・寧々のもとを大奥の最高権力者・春日局が訪れ、そこにさらに、お船が訪れたことがあるというところからスタートする。なぜこの3人の女性が顔を合わせたのか。

 すると、時代劇セットの中に、突然「いやあ、驚きました。夢のスリーショット!」と言いながら、スーツ姿の俳優・筧利夫が割り入ってきた。筧の役割は、VTRと番組MCの船越英一郎がさばくスタジオパートとをつなぐレポーターのような役割で、要所要所に登場する。

 ブラインドカーテンのすき間を指で開け、石原裕次郎的な「七曲署のボスアクション」で再び登場した筧。カメラ目線で、渋い口調で言った。「このへんの事情に詳しい、直江家の侍女の方に話を聞いてみましょう」

 そして登場したのが、「ホントウニ、カオハバレナイヨウニシテネ」と、ボイスチェンジャーで甲高い声に変換された「内情に詳しいお船の侍女 甲さん(仮名)」。なんだ(仮名)って。わざわざ画面隅にテロップで「筧利夫が極秘取材」と出したり、狙いすぎた演出だ。

 筧は甲さん(仮名)に、なぜ上杉景勝が秀吉側に急に寝返ったのかを聞くのだが、極秘情報として匿名で語ってくれた内容が「直江兼続と石田三成は、実は仲がよくて情報交換したりしていた」という、わりと有名な説。しかし、眉間にシワを寄せ、「一体なんで、兼続さんと三成が?」「信用して、大丈夫なんですかねぇ?」という筧。熱演だ。

 筧のハイテンションは続く。直江兼続の身長が実は180cmもあったということから、船越(181cm。以外と長身)が「今でいうと190cm越え、2m近いってことですよね!」と驚けば、筧が大声でキッパリと言う。

「今でいうと、2m10cmっていうとこですね」

 なぜ10cm加えるんだ。「それは何の計算ですか!?」と、共演のビビる大木にもツッコまれていたが、「プロバスケットボール選手並みの」と強引に続けた。忍成の演じた兼続もなかなか熱い演技で、「泣き虫」妻夫木兼続とはまた違う迫力があった。しかし、最後を締めたのも、結局筧だった。

 冒頭の大物女性3名が集まったシーンに再び戻る。そして、宴の準備をしたからといい、3人の背中を押しながら「パーッといきましょう!」と消えていき、そのままシメた。

 どこが「最終回」的だったのかはさっぱり分からなかったが、NHKさん、参考になりましたでしょうか。
(太田サトル)

『天地人 前編 (1)』

NHKに訴えられないようにね

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最終更新:2013/04/03 23:09
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